製造業では人手不足で技術伝承が進まず、熟練者が引退してモノづくりの品質が危機に直面しています。知識や経験が不足する非熟練者は検討に抜け漏れが生じがちで、熟練者が指摘して防ぐという属人的な設計プロセスになってしまっていました。そのような中、熟練者の引退が急速に進んで、品質低下が顕在化し、不具合や開発遅延が増加しはじめています。

そのため、若手設計者は知識や経験を補うために、膨大な技術文書を検索して読解しなければならず、大きな負荷が業務効率を妨げています。そもそも、文書作成者によって表記やフラグ付がまちまちで検索性が悪く、膨大技術文書を膨大すぎて有効活用できていません。社内データをChatGPTに回答させる試みをする企業はいますが、自由なチャット形式では情報の正確性や網羅性から上手くいっていません。

第一部では、大手自動車メーカー出身で大手製造業に設計品質改善のコンサルティング経験が豊富な、AIONA株式会社 Chief Executive Consultantの古波津勝彦を中心に、設計現場で起きている課題について事例を交えながら、解決するための仕組みを解説し、生成AIを活用したAIONAの取り組みについてご紹介します。

第二部では、AIソリューション事業領域のユニットマネージャーとして数々の大規模プロジェクトを牽引し、生成AIの活用支援においても豊富な経験を持つ株式会社Sun Asterisk CTOs/Unit Managerの西田衣織氏をお招きし、「生成AI活用の2024年の振り返りと2025年のトレンド」をテーマに、本格的に活用が進みつつあるRAGから、最近注目を浴びるAI Agentなど、生成AIの最新動向について解説いただきます。